2026/03/06 03:08


「宝尽くし」という縁起の良い宝物を集めた吉祥文様を、秩父にあわせて再構築しました。

大地の記憶、人の営み、自然の便り──地質、自然、産業をテーマに、秩父が育んだ8つの宝を選んでいます。

宝尽くしとは、縁起のいい宝物を集めた、吉祥柄です。
室町時代に中国から伝わった「八宝」を日本風にアレンジしたもので、幸福や長寿、富などの願いが込められています。


◆地質カテゴリー
秩父は今でこそ四方を山に囲まれる盆地ですが、太古の昔は海でした。そんな大地の記憶です。

〇武甲山:秩父を象徴する山で、石灰岩が採掘されています。石灰岩は、生物の骨や殻などが海底に堆積してできます。
化石:パレドパラドキシアなど、海だった時代の名残を彷彿とさせる化石が発掘されています。
和同:飛鳥時代に日本ではじめて、高純度の銅が採掘されました。元号を和同に改め、和同開珎を鋳造、流通させました。

武甲山の図案は、質問が多いです。「なんで、こうなったの?」と。
実のところ、図案を作るとき、武甲山は結構悩みました。
武甲山は削られているので、アステカ文明のような形でカッコいいのですが、それは近年、人間の手によるもの。
もっと武甲山そのものを、形にしたいなぁ...と思い、炭酸カルシウムの分子モデルを基に、図案化しました。


◆自然カテゴリー
山々に囲まれた土地ならではの、自然からの便りです。

チチブイワザクラ:サクラソウの一種ですが、武甲山にだけ自生する絶滅危惧種です。
カワセミ:目標達成など、縁起の良い鳥とされています。水の綺麗な川辺などで、見ることができるようです。


◆産業カテゴリー
秩父の大地と自然によって育まれた、人の営みです。

秩父銘仙:古くから養蚕が盛んで、織物業へと発展していきました。
酒:美味しい水のおかげでしょうか。日本酒だけでなく、ウイスキー、ワインなど、様々な地酒が作られています。
かぼす:通常は緑ですが、秩父のかぼすは黄色。緑も食べないわけではないので、たまに緑も入っています。
なぜ、かぼすが作られるようになったのか。なぜ、黄色なのか。背景を知ると、エリアならではの「人の営み」が見えてきます。


秩父の宝シリーズは、木を彫って版をつくり、ひとつひとつ捺して、さらに型を重ね、刷毛で色彩を施す…という工程で作っています。
刷毛で少しずつ彩色するので、捺染とは違った色の濃淡を表現できるのが魅力です。
手仕事だからこそ、同じ柄でも少しずつ違う表情が生まれます。